世界最軽量のソロタープを作ってしまった
年末、登山道具部屋を整理中に、存在に気付いてしまった。
以前、MYOGにハマっていた頃に作ったDCF(ダイニーマ・コンポジットファブリック)の残りに。
そうだ、タープを作るつもりで残していたんだった。
しかもそのDCF、0.34ozの、超・超極薄素材。
DCF生地とは
DCF(Dyneema Composite Fabric)は極細のダイニーマ繊維を縦横にメッシュ状に織り込み、樹脂で挟み込んだ複合素材フィルムです。
ダイニーマ繊維の方向には途轍もなく強靭で、引っ張っても伸びず、ちぎれる事もまずありません。
ハサミで切ろうとしても、繊維のたった一本でも少し力を込めねば切れないほど。
ただ、バイアス方向(生地の流れ方向に対して斜め)には編み目状な分、フィルムも伸びてしまうし、針を刺したような状態で、つまり点でバイアスがわに力を掛けると、千切れて崩壊する事もあります(私的に実験済み)。
DCFは0.34oz,0.51oz,0.67oz,0.8oz,1.0oz,1.43ozと厚み(呼び名は平米ヤード当たりの重さ)があります。
一般的にはULタープやスタッフサックには0.67oz~1.43ozが使われ、ザックには更に別の高強度生地と張り合わせた3.0oz以上の重さの生地が使われます。
MYOGなどで自作する人の中には0.51ozを使用してタープを作ったり、スタッフサックを作ったりする人はいますが、商品として販売されている物ではやはり強度不足からか、0.51ozを使用している物はあまり無いように思います。
更に0.34ozともなるとどうも製造していない?のか、生地として手に入れる事もほとんど不可能です。
恐らく、強度の問題だと思います・・。
何故なら、めちゃくちゃ扱いづらく、使い方によっては途轍もなく生地が弱いのです。
ダイニーマ繊維の強さは変わらないのですが、ラミネートに使われているフィルムが極薄なんてもんじゃなく、イメージ的にはスーパーで無料で使える、汁物を入れるポリ袋です。
ただ、完全防水である事、引っ張り強度は十分に高い事から、以前色々と作って身内に配ったり売ったりしていました。
という事でまあ放置しておいても無駄ですし、幸い年末年始に長い休みを取れましたので、今回ソロタープを作ってみようと思い立ったのです。
どんなソロタープを作るか??
サイズはウルトラライトでは一般的なサイズ。
つまり古き良きULソロタープサイズの2.5M×1.4M。
なぜソロタープにこのサイズのものが多いのか、というと、ナイロン生地の幅で一般的なものが58インチだからなんですね。
で、流れ方向に3ヤードで注文すると、だいたい2.5M×1.4Mの物が出来上がる、という事みたいです。
ただ、今回残っていた生地が2.5ヤード(約2.3M)。そしてDCFは生地幅が54インチなので、幅が1.37Mくらいです。
仕上がりは恐らく長さ2.25M、幅1.32Mくらいになる予定。
一回り小さいサイズになりますが、過去に書いたスリーピングシステムの補助として、主に雨の時のフォローアップで使うつもりなので全く問題がありません。
製作開始
ええと、事細かに書こうと思いましたけど書くの面倒だし需要無いと思うので主な内容だけ。
生地端は三つ折り、接着処理。
接着には仕事でも以前使っていた3Mの接着剤転写テープを使用。
初見の人も多いでしょうが、つまりは芯材の無い両面テープです。
転圧後はかなり強力で、まず剥がれません。
もし不十分なら、更に縫うつもりでいますが、恐らくこの生地自体、そこまで強度が無いので不要でしょう。
生地の耳は切り落としました。
普通の生地なら耳は折り込んでしまうのでそのまま使えるのですが、DCFは耳部にダーニーマ繊維が入っていないので、ここを折り返して使うと、強度が出ないのでは、と考えたからです。
で、ガイラインの取り付け用にウェビングテープを、これまた余っていたザック用生地のDCFで補強して取り付けました。
めちゃくちゃ端折った説明ですがそんな感じです。
久しぶりのミシン仕事、しかも生地がかなり扱いにくく汚くなりましたが、なんとか完成。
重量58グラム!!
これは世界最軽量では。
そりゃそうか0.34ozのDCF自体が手に入らないし。
早速張ってみた
良い。全然良い。
少なくとも強風下以外は絶対に問題ないと言えるレベル。
これが58gとかイカれてるだろ。
ただ、透明過ぎて「農ポリですか??」って聞かれそうな・・・。
大きさ的にもまあちゃんと広いので、単体でムーンライトビビイと一緒に使う、というのもすごく良さそう。
なによりも「世界一軽いタープ張っているオレ(キリッ)」っていう全能感がヤバイ。
細かい所は失敗しまくっていますが、なかなか実用的な物が出来上がりました。
そして改めて思う、ウェビングテープとニーモのエアピンステークとの相性最高。
引っ掛けるだけだもん。
皆さん、山でコレ張ってる私を見ても指をさしてクスクス笑うのだけはやめて下さいね。
今年は久しぶりにこういうキワキワのMYOGにも取り組んでいきたいです。