世界最軽量の寝られるツェルト
思うところあって、こんなの寝られへんでおなじみ、ヘリテイジのエマージェンシーソロシェルターを購入しました。
「こんなの寝られへん」というのは私の後輩で、初テント泊にこのツェルトのみを持っていったヤスタカ君の名言です。
みなさんもご存じかとは思います。
このソロシェルター、寝ることが出来るシェルター・ツェルトで世界最軽量(フィルム素材のものを除く)の160gという、驚きの軽さのシェルターです。
よく比較されるものにファイントラックのピコシェルターがありますが、あちらは座る事が出来ても横に寝ることが全く出来ません。
他に、山岳レースやカリッカリのトレイルランナーに好まれる、信州トレイルマウンテンさんのストックシェルターという物があります。
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こちらはストック2本を骨組みとして利用するので、ツェルト類の最大の弱点である横風に強くなっているのと、被るように中に入ってしまえばあとはガイラインも何もなしでもなんとかなる、というのが強みか。
トレマンのストックシェルターと同じような構造のものでは、ヘリテイジのトレイルシェルターという商品も以前はありましたが、現在は販売されていません。
今回購入したヘリテイジのソロシェルターは人気がなく、私もとある使い方を考えるまでは購入に躊躇していました。
というのも、
- 小さい・狭い
- 結露しまくる
- 小さい・狭い
- 床面が割れているので浸水する
- 値段が高い
- 小さい・狭い
- 張るのに慣れが必要かも
と、普通の登山者・トレイルランナー・ULハイカーにとってはあまり良い所のない商品だからです。
あまり需要もないだろう、と思い、今更レビューするつもりもなかったのですが、私が購入した時も意外と情報が少なく、ニリューアル後の物はレビューがまったく無いので、ご紹介したいと思います。
ヘリテイジ エマージェンシーソロシェルタースペック
乾燥時平均重量 165g(乾燥時平均)
生地 :高強度10Dナイロンリップストップ・透湿PUコーティング
耐水圧: 1,230mm(JIS L 1092 A法)
透湿性:367g/sqm/h(JIS L 1099 A-1法)
カラー レスキューオレンジ
収納サイズ 直径7.5cm×長さ13cm
素材としては一般的なツェルトと一緒。
サイズとしては高さのあるビビィサックと同じ。
更にそこが割れていて通気性が悪い、というなんとも使いどころの難しいものです。
ポールが1本と張網み2M程度×2、ペグが8本(立てるだけでも最低でも2本は必要)あれば良いのですが、専用のポールセットも有ります。
2022年のものからは出入り口が長辺側に変わり、使いやすくなりました。
短辺側はストックあるから出入り難しいですもんね・・・。
さてレビュー。
エマージェンシーソロシェルターのレビュー
ええと。小さい。
想像していたよりも小さく、そして軽い。
実測は162g。
一般的なグランドシートよりも軽いです。
エスケープヴィヴィよりも軽い!!
また、特別どこにも表記されていませんでしたが、収納バッグは両開きです。
あ。ここで一つひらめく。気になった方は最後までご覧ください。
ちなみに、この袋に戻すの結構大変です。強度もさほど無いように見えますから、注意して使いましょう。
早速庭に建ててみました。
設営は超簡単。
手順としては、
- 足側の両端をペグダウン(幅方向にはパリッとここで極める)
- 頭側の2か所を軽くペグダウン
- ポールを伸ばし、頂点部から伸ばしたガイラインをポールに巻いてペグダウン
- 足側の頂点をペグダウン
- 最後に張りの調整
の順番なら、強風化でも飛ばされずやりやすいし中に雨も入りにくいと思います。
書くまでも無いですが一応・・。
作りは軽量化の為か、かなり簡略化されています。
通気口(兼頭を出す場所)もネットとかは無し。絞れはします。
足側の頂点は3Mくらいのガイラインを延ばせば、ポール無しでもイケます。
ただ、伸ばさないトレッキングポールかなんかに巻けばガイラインも短くて済むので、狭いテント場ではこうするのが吉。
出入口はダブルジップなどではありません。
下部はスナップボタン(かなり弱いので注意!!)。
防虫ネットなども無し。
開けた時にヒラヒラするのが嫌な場合、止める場所がない。
しかし通気口に突っ込んで絞ればなんとかなります。
床面は頭側半分が割れていて、スナップボタンで開閉可。もちろん、ガッツリ水は染みてきます。
175cmの私が寝そべって、しっかり張って無風、身動きを取らなければ何処にも当たらずに済みます。
つまりもし私が死体であればなんとか結露した壁面に触れずに済みます。
座ってもめちゃくちゃちょうど良い位置ならどこにも触れずに入れれます。
少しでも動いたら終わりです。
幕体に身体を押し付けてなら、なんとか内部で調理と飲食くらいはできます。
・・・。
ここまで見て改めて皆さんも分かったと思いますが、このシェルターだけで1夜を明かすのはほとんどの場合しんどいです。
外が暑いと中も暑いです。開けると虫が入ってきます。
外が寒いなら中は結露してそこに身体が触れて濡れます。
外が雨なら浸水します。当たり前です。まず結露もします。
外が強風なら煽られて常にテントの壁が身体にあたります。
外が丁度よくて雨も降ってなくて虫もいなくて風もないなら快適なんですが、だったらテント必要ないですからね。
山で夜寒くない、なんてまず無いですし‥。
そうですよね、基本的にどんな環境でも快適にしようと思ったらダブルウォールにするか、めちゃくちゃ広いシングルウォールにするしかないのです。
しかも防水で丈夫なヤツ。
ところがどっこいこいつは狭いシングルウォールなんです。
しかも浸水してきて貧弱。
ただ、耐風性に関しては実は温めていた作戦があって。
例の両開きの収納袋。
こいつをこうして。
じゃーーーん!!
はい、丈夫。めちゃくちゃ丈夫になりました。
横風にはびくともしません。
もちろん、煽られれば幕体は身体に触れます。
しかしそれはそれ。別の何かで防御すればよい。
・・・そのあたりの運用方法はまた近日中にアップします。
まとめ
良い点
- 軽い
- 意外と丈夫
悪い点
- 小さい・狭い
- 値段が高い
ここまでかなり悪口ばかりになりましたが、実は何もかも私の期待以上でした。
軽いし作りは良いし小さいし目論見通りにストック二本使えるし。
デメリットは全部理解した上での購入なので、良いんです。
あ、こいつだけでの山での使用レビューは今後も絶対に書きません!!
だって地獄ですし私はそんな根性ないしそんな使い方をする予定もないので!
もし、本当にこいつだけでビバークする事になったら(エマージェンシービビイは必ず持っているのであり得ませんが)、風の弱い、高い所に陣取って、浸水だけはなんとか逃れたいな、と思いますね・・。
ということで続編?の、運用方法はまた後日レビューします。
運用方法編です!!↓↓↓