ファンは読まないで下さい
まず先に書いておきますが、ファンの方は読まない方が良いと思います。
あと、もし中の人がいたらその方も読まない方が良いと思います。
購入してから色々とテストしつつ使ってみましたが、やはりどうしても多くのレビューで書かれているような良い評価は出来ませんでした。
途轍もなく人気のあるバックパックなので、そこを批判する様な事を書いても私は損しかしませんのでアップしようかどうかさえ迷いましたが、真面目にバックパックを作っているのに評価されない他のメーカーの方の事を考えたらまあ私みたいに空気を読まないレビューを書く人間も必要だろう、とアップする事にしました。
OMM装備考12 ウルトラライトなバックパックの選定
OMMの装備の選定・・・というか登山装備のUL化もかなり進んで、ベースウェイトも半分くらいになってきました。
本来は一番最初に決めるべきかもしれませんが、バックパックはなかなか決まりませんでした。
そもそもUL系バックパックというものに興味すらなかった私はもちろん背負ったこともほとんどなかったのです。
色々と探したり聞いたり調べたりしましたが、他のUL系の装備にも増して知識が無い事に気付いた私。
詳しい方からしたら噴飯ものかもしれない選定ですが、一応松竹梅で考えてみたんです。
ULバックパックの要求仕様
今回選定にあたり欲しかった機能は以下の通り。
- 800g以下(これはざっくり※ザックだけに)
- 容量30l以上
- クローズドセルマット(幅50cm)が中に入る
- テントを乾かしたいので背面に余裕のあるメッシュがある
- 走れる
以上です。
しかしどれも机上の空論で、やはり背負ってみない事にはわかりません。
そこが一番の問題なんですけどね・・・。
という事でいつもの様に候補。
候補1・トレイルバム バマー
重量 410g(内・背面パッド44g)
容量 30L
素材 200D スペクトラグリッドストップナイロン
松竹梅の梅。いわゆるレイジャーディン系の王道ULザック。
値段は18000円程度と比較的安価。値段の割には軽いし背負い心地の評価も高い。
素材も丈夫。普通に手に入るので貧しい私には普通に考えたら第一候補。
候補2・山と道 Mini2
重量 441g(内・背面パッド43g)
容量 35L
素材 70D リップストップナイロン
松竹梅の竹。素材はポリカーボネートコーティングというコーティングで耐久性が向上していると謡っている独自素材。
これもレイジャーディン系のごく普通のバックパックだけど、途轍もなく人気が高く、定価ではまず買えない。新品だと末端価格40000円近いかもしれません。
候補3 Hyperlite Mountain Gear Windrider 2400
重量 798g(内・アルミフレーム110g)
容量 45L
素材 DCF&Polyesterハイブリット
松!
元祖ULバックパックらしいです。アルミフレームがある上に、生地がかなり軽量かつ丈夫で張りがある為、ブレない、と評判。
かなり惹かれましたが、もともと定価で税込み6万円近くするうえに、在庫がなく転売価格でしか手に入らなかったので断念。
などと悩んでいたんですが、まあ背負ってみないと始まらないな、という事で山と道Mini2を購入しました!
山と道Mini2 レビュー
前半は今更かつ、ありきたりなレビューですが、気の長い方は読んでください。
カッコいい・・!
見た目、カッコいい。超カッコいいです。
ULハイカーのみならず一般的な登山者、ULキャンパーにまで人気の理由がわかる。
素材感も形も、なんというか「アウトドア感」がものすごく強く、それでいてオシャレな感じがします。
今風、というかランドネっぽい、というだけではなく、とにかく存在感がある。
なかなかザックひとつでカッコいい、という物は無いので、封を開けた瞬間から嬉しい。
特にこの誇らしげな山と道のロゴ。
これ、控え目で好きなんですよね。
でも最近はメジャーになり過ぎなので、出来れば剥がして使いたい。
一目でブランドがわかる物は全て嫌いなんです。
素材も良い
素材もどこかパリッと丈夫な感じで、カッコいいです。
公式が謡っている「10年劣化しない云々」は信用していませんが・・。
底面の素材はX-pacのVX21です。おなじみの素材。
私はこいつの黒とかカーキが大好きなんですよね。
各部の収納・機能
サイドポケットはメッシュです。
ペットボトルが二本入ってちょうど良い。
ただ、口を調整できるので、
1本だけ入れる時なんかも落ちなく出来ます。良く考えられている。
メインのメッシュポケットはとても大きい。
テントやシュラフをざっくり入れて乾かしながらあるけます。
バンジーコードは引っ掛け式。
ここはすぐに外れたりすることも無く良い感じ。
ここも口は簡単に締められるし、開放も一瞬です。
引っ張るだけで緩められる。
また、ここにはキークリップが付いています・・・けど、ここには普通は付けないかな。取れて失くしたら困りますしね・・。なのでここは私には無駄機能。
サイドのコンプレッションは、上でも下でも引っ張れて止められます。
ワンタッチでストックやピッケルも付けられる・・・と公式にも書いてありますが、ピッケルを付けるには剛性不足、構造が悪い、生地が弱い、なので私はつけないでしょう。
ザック下部のループには色々と大きくて軽い物を取り付けられる。
これは重宝する人も多いかも。私は使いません。
ウェストベルトはワンタッチで取り外せます。
・・アレ?これはYKKの汎用品。なので・・・
こうやってパーツが合う物はドッキングできます!
合わなくても、自分で改造してしまえば、色々と取り付けられます。
バックルさえ買って取り付ければよい。
というかほとんどがYKKの汎用品なので、工夫次第で改造の幅が広がりそうです。
ショルダーは割と分厚い。しかしシンプルなのに取り付ける場所が少なすぎる・・・。
チェストベルトにはホイッスル付き。
この上か下にボトルホルダーなんかを取り付けることになりそうですね。
中はもちろん一気室です。
背中側にはミニマリストパッドが収納されて、もちろん取り外し可能。
とまあ、意外にも機能は充実しています。
それでこの軽さに抑えているのは本当に工夫されていて凄い!!
ただ、パーツとか細部の作りが好きな私としては、やはり見ていくと色々と残念・・・・とまではいきませんが、期待外れな作りかな、とは思いました。
ここ補強無いの!?とか、これ意味なくね???とか。
それはまた後でまとめて書きます。
実際に使ってみて
ええと、ここからが本題です。
実際に使ってみました。1か月、通勤ランや子供とのハイクアップ、無駄に荷物入れて登山道で試用したり、普段使いなんかに。
まあ結論から言うと、私にはダメでした。
ダメな点1 重心が身体に寄らない
通常、登山用のほとんどのバックパックはフレームかプレートが背面には入っているので、サイドコンプレッションストラップを引くとプレート側に潰れ、背中に重心がぐっと寄ります。
このバックパックはそれが無いために、引っ張っても重心はバックパックの中心に寄るだけで、背中には寄らないんですね。
だからパッキングの段階でかなり気を遣って背中側に重量物を配置しないと、特に下りでの揺れが酷くなります。
また、クローズドセルマットをフレーム代わりにくるりと巻いて中に入れた時など、背が高くなると揺れがかなり酷くなります。
重心が高くなると当然背中から重心が離れていくので、普通のバックパックならロードリフターストラップを引っ張って背中側に寄せる事で揺れを回避できます。
ところがMini2はそれがない。
なので、肩を超える高さにパッキングすると、とてもじゃないですが走れたもんじゃありません。
のんびりしたハイキングやキャンプならまったく問題ありませんが、走るにはちょっと厳しい揺れるバックパックでした。
OMMでバディが背負っていたminiはここまで揺れませんでしたから、少しの容量差ですが、その差が大きく影響している様に思います。
また、miniは背面のジップポケットに荷物を入れる事で結果的に背中側にメインコンパートメントの荷物を押し付けられる、という事も考えられそうです。
ダメな点2 前後の重量バランスが悪い
単純に後ろが重いです。
トレランザックだと前後の重量バランスも考えてポケットや収納が配置されて、前に水の様な重いけど小さい物、後ろは軽いけど嵩張る物、の様な使い方が出来て、重量バランスが良い。
普通の登山ザックだと当然背面荷室側が重くなるので、腰に重量配分したり、背中に出来るだけ添わせるクライミングザックとかアルパインザックみたいな構造にしてクリアしているのだと思います。
このバックパックはそれが無理なので、重量を前に持ってくるためにボトルホルダーを追加するしかありませんが、ショルダーハーネスの構造上、かなり上部にしかつけにくいので、やはり重心が後ろ寄りになります。
かなり荷物が少なくないと、走るには向いていない重量配分にしか出来ないといました。
ダメな点3 脆い
構造的に補強が少なく、生地も弱いため、やはり心配です。
実際、メルカリやヤフオクで中古で出回っている物で、破損している物がかなりあります。
ショルダーストラップの取り付け部が破損の頻発箇所に思いました。
メッシュポケットも目が粗いからか、引っ掛かって破損しやすいようです。
当たり前だろう、と思うかもしれませんが、普通の登山ザックでは破損することなんてほとんどありませんから、やはりデメリットとして上げざるを得ません。
総評
これは私は本格的な山には持っていけないな、というのが結論です。
走るだけでストレスを感じるのでは無理です。
色々と試しましたが、荷物が少なければ、パッキング次第でまったく揺れない状態には出来ます。
もう一回り小さければ、かなり背中にくっつけるパッキングが出来る自信もあるんですが、そこまで気を遣って使う意味は・・・正直ありませんでした。
それか、剛性の高いカーボンプレートに背面パッドを交換出来れば良くなると思いますが・・・。
このままでもとてつもなくパッキングが上手いランナーなら大丈夫なのかもしれません。
また、走らないならまったく気にならない揺れ、重心のズレ、なのだと思います。
キャンプに使うならこれだけ拡張できるバックパックは他にないでしょう。
ただ、トレランテント泊りには、私はコイツを使うのは無理です。という結論に達しました。
じゃあこれもう使わないのか?と聞かれると・・・。
いや、使いたい。
これが不思議なもので、やっぱり持っていたいんです、カッコいいから。
例えばちょっとしたハイキングとか。気軽に荷物を適当にガンガン突っ込んでこいつで歩く、というのは、かなり楽しそうです。
他のULバックパックと比べてみてほしいんですが、何故か圧倒的にカッコいい。
いや、同意してくれなくて結構なんです、コイツを背負っているとワクワクしてきます。無駄に寝る前とか背負ってしまうんです。
ただ、残念ながら、というか当然ですが、バックパックとしての出来は、バックパックメーカーや登山ブランドの本格品には全然及びもしないと思います。
じゃあOMMのバックパック、どうするの???となりますが・・・。
実はカリマーのcleave30という軽量バックパックで悩んでいます。
お店で背負った感じでは、正直Mini2よりも軽く感じるほど。かつ動きやすい上に丈夫。
前面にトレランザック並みの収納が有って、カリマーの英知が結集されているようなバックパックでした。
もし購入したら、近いうちにレビューしたいと思います。
購入しました↓