御用だ御用だ!誤用警察だ!
というわけではない。
私、江戸の市井もの小説が好きで。
あと、わりと昔の小説も好きなんです。
すると、標題の2つの言葉って、結構な頻度で出てくるんですよね。
だから気になる。誤用が気になる。
誤用だ御用だ!誤用警察だ!(言いたいだけ)。
敷居が高いの誤用
敷居が高いとは本来、「不義理や不面目な事があって訪ねづらい」状態をいう言葉です(各種国語辞典より)。
例えば
雨宿りせねばならぬか、などと思案していると、この先に本家がある事を思い出したが、さすがに敷居が高い。
と一文で、敷居が高いという言葉一つで様々な情報を伝える事ができるので至便です。
ですが、最近は「あのお店は敷居が高い」とか、「初心者には敷居が高い」みたいな誤用が多く、というかそれしか見かけません。
「お店の敷居が高い」というのは恐らく「格が高すぎて入りづらい」事を言っているのでしょうけど、江戸っ子がドタバタする市井もの小説でよく鍛えられた私は、違和感で脳内変換が狂っちゃいます。
「おいおい、なんか迷惑なことしたのか?」と一瞬考えてしまう。
「初心者には敷居が高い」みたいな使い方は、さらに新しくて、たぶん「ハードルが高い」の言い換えからの誤用だと思います。
これは、昔から「敷居が下がる」という言葉が「ハードルが下がる」とほぼ同じ使い方がされてきましたから、その流れで誤用に至っているのかな、とも。
個人的には、
- 訪ねづらいこと
- 過去に因縁(こちらに非のある)があったこと
- 本当は少しだけ訪ねたいこと
みたいに多重な意味を籠められる(3は私が勝手に感じているだけですけど)言葉を、ただ「行きづらい」ことだけを表現する言葉に変わるのは悲しい。
だって、「行きづらい」で良いのに、その使い方なら。
役不足と力不足
役不足の誤用なんてさらに私の脳を直撃します。
役不足の本来の意味は「自分にとって役が不足な事。割り当てられた仕事が自分にとって軽いこと」です。
対して、力不足は「与えられた役目を果たすだけの力量がないこと」です。
意味が真逆なんですよね。
それなのに、役不足という言葉を力不足という言葉の代わりに使う記事が多すぎる。
役不足も、歴史ものとかだとしょっちゅう出てくるから気になるんですよね・・。
有名なのは漢の韓信ですね。
後に大将軍になる彼はずっと小役人として勤めていました。
しかし突然将軍として重用されてからは中国の史上最高の将軍と称されるほどの活躍をするわけですから、役不足、という言葉が彼以上に似合う人はいません。
とにかく、東アジアでは「役(仕事)」が軽い、重い、が今よりずっと重んじられてきましたから、歴史ものではよく出る表現なので、私は気になってしまう体になってもうあの頃には戻れないの・・・。
誤用ダメなの?
ただ、大前提として、私は「素人がネットに書いた文章の誤字脱字を指摘するのは恥ずかしい、日本語の誤用を指摘するのは空気嫁なさ杉」という2ch文化で育ってきているので、気になるだけで、ダメだともダサいとも思いません。
ただ、私の脳みそは藤沢周平や山本周五郎やその他の昔の小説で洗脳されているので、きになっちゃうんですねw
他の誤用は大して気になりません。誤字脱字も。
ツイッターやブログだと、誤字脱字に気が付いていても「そーーうしん!ずきゅん!」ってしちゃいます。
誤字脱字もあった方がナマっぽくて良い時も多いですし。
凄い「急いでいる感」が出たり。
妻は誤字脱字が一つでもあると気になって気になって仕方がないタイプなのでよく指摘を受けますが、直すことはありません、だって素人のブログだぜ???日記の誤字をいちいち直すかよwwwww
だから、誤用していても別にその人に対しては何も思わない。
ただ一つ思うのは、ドヤ顔で日本語の誤用を指摘している人がその口で誤用を繰り返している場合。
これはダサいwwwwwwww
とか言っていると自分も恐らく普通に誤用していたりするので、他人の間違いをいちいち咎めない方が賢明なんですよね。
自戒自戒、猪八戒。
誤用誤用、というけれども、例えば「お気に入り」も本来は相手に「お気に入りになりましたか?」とか、「あいつはあのお方のお気に入りだから」とかで使う言葉で、自分の好きなサイトを「お気に入り」とか言いませんからねw
「元旦」だって元日の朝だけの事を言う言葉だし。
言葉は生き物で文化なので、他人の使い方にとやかく言うべきじゃない、自分が気持ち悪いだけです。
ヤンキー言葉
言葉は文化、と言いましたけど、最近、久しぶりにゴリッゴリのヤンキー言葉を使うヤツに会いました。
「ハクいスケ見かけてさ、オマ〇コしてー!って思ったのさ?」
「しゃばい、しゃばいねー!バリバリいこうよ!」
とか。
マジかよ。令和だぜ。
ヤンキー映画見てなかったら理解できなかったぜ危ない。
因みに、その人は50歳くらいのオッサンです。
彼に幸せがあらんことを祈ります、アーメン。
おしまい。