プラスチックペグの良さに気付く
皆さんプラスチックペグって使ったことありますか?
やっっっすいテントやタープをホームセンターなんかで買うと、プラスチックのペグかステンレスの重いペグ付いてくる事ありますよね。
今でも100均やホームセンターでプラペグ単体で売ってたりします。
100均で買ったプラペグを、公園でタープを張るのに使ったら、全く刺さらないので強めに叩いてたら立て続けに折ってしまったこともあります・・。
近頃は登山用とかキャンプ用のペグとしてもプラスチックペグがちらほら出てきていたんですが、私はあの昔のイメージがあるので全く興味なかったのですよね。
しかし最近、複数の人や情報源から最近出てきているUL用、ウルトラライトハイキング用のプラペグの良さを聞きまして。
ちょっと使ってみたいのな、と思い調べていました。
プラスチックペグとは
一般的にプラスチックペグは他の素材のペグと比べて、以下のような特徴があります。
メリット・良い点
- 軽量
- 安価
- メンテナンスが簡単
- 柔らかい地面で抜けにくい
デメリット・悪い点
- 強度が低い
- 平年劣化が強い
- 熱に弱い
- 摩耗・削れに弱い
ビーチや広い川べりの様な砂地に一番向いているのがプラペグです。
海外の動画なんかを見ていると、雪上でもよく使われてるみたいですね。
日本人が竹ペグ使うみたいなもんでしょうか。
軽さと値段は魅力的なんですが、あらゆる面から弱いので、3シーズン登山には不向き、とされてきましたし私もそんなイメージでした。
が、そんな中でも、「あ、これ使えそうだな」と思ったのがピラニアのプラスチックテントペグです。
ピラニア テントペグとは?
ピラニアは、プラスチックの専門家が開発した、スイス生まれのアウトドアブランドです。
ピラニアテントペグには特徴的な「ピラニアの歯のようなギザギザな返し」がついていて、抜けにくさ・保持力を強化しています。
プラスチック素材自体も、一般的なアウトドア部材用のプラスチックよりもかなり強度を上げています。
また、環境に優しいリサイクル可能な素材を使用しており、自然への負荷を軽減します。
それだけでなく、回収も行っていて、更に回収されたリサイクル素材で作られたプラペグも販売していて、最近では植物由来のプラスチック製のペグまで開発しました。
現在主だったUL系登山ショップの多くが扱っており、日本でも知名度が上がっています。
その人気の秘密は何といっても公称5.9gという軽さ(※12cmのRT120)でしょう。
値段も高くない(実売500円未満)ので、今回試してみました。
というか、実のところ、カーボンコアステークが息子に瞬殺された悲しみの勢いでポチっただけですが・・。
ちなみにサイズは90mm(3.2g)120mm(5.9g)150mm(15.1g)180mm(16)220(34g)と30mm刻みであります。
ULハイクの文脈では90mm120mmが3シーズン、180mm220mmは雪上ハイクで求められる物になってきそうです。
特に220mmは雪上の使用を考えて特別な形状をしています。
同じ素材のソリッドスノーアンカー(43G!!)と組み合わせて、安心の出来るアンカーセットが作れそうです。
プラスチックペグRT120 TENT PEGレビュー
今回購入したものは最も使いやすそうな120mmのRT120です(上記画像は0.1g重いBF120です)。
まず見た目。裸でやってきました。
うーん、極めて安っぽいです。
私の愛する現行世界最高のペグ(独断)、エアピンや先日折れたカーボンコアステークの様な美しさ、物質的存在感、手にした満足感なんかは皆無です。
愛情はまったく持てません。
重量は・・・
5g台。
職場の精密測りで測定したところ、5.81gだったので公称の5.9gはほぼ正確だと言えそうです。
エアピンと同様に、頭部に溝が有ってここにガイライン・細引きを巻き付ければ固定されちゃいます。
結構適当な感じというかどのように巻いても大体固定出来るので、2本のガイラインを巻き付けたりなんやかんやとアイデア次第で使えそうです。
早速打ち込んでみました。
土・草地なら全く問題なく刺さって聞きます。
砂地でもある程度保持してくれる。これは流石プラペグ。
返しが付いているし、ざらざらな表面と広い表面積で抜けにくくなってるんでしょうか。
砂地では圧倒的に信頼できますね。
ただ、下が砕石の場所では石に当たるとまったく刺さってきません。
硬度が無いので石を割る事が出来ないのは当然ですが、柔らかい分衝撃が先端に届かず、いくら叩いても石の間に分け入っていくという感じはありません。
単純に尖っていないという事、太い、という事もあるでしょう。
下が砕石の場所(整ったキャンプ場や駐車場など)や、稜線でよくある硬いテント場では単体使用は厳しいと思います。
貫通力の有るペグで下穴をあける必要がありそう。
ただ、思いのほか折れません。
超軽量、低強度、嵩張る、ということでカーボンコアステークと比較されることが多いですが、カーボンコアステークごときとは比べ物にならないほど強度は高いです。
なんとか折ろうとしてみましたが、まったく折れませんでした。
硬いコンクリかなんかを用意して、テコの原理でも使わないと折れそうにないです。凄い!!
ただ、上の写真にもある通り、ちょっと打ち込んで遊んだだけでもバリバリ傷付き、削れて行きます。
叩くと後も付きます。一般的なプラスチックと同様、削れには弱いですね。
また、思いのほかストレスだと思うのが、泥がめっちゃ付くことです。
山行後は毎回、徹底的にキレイにしたいタイプの人には全くオススメ出来ません・・・。
公式が言うには垂直に刺すのが正解の様で、抜ける力にギザギザとペグ自体が曲がるという性質で耐える、というような事を想定しているのではないか、と思います。
ついでに言うと曲がっても160℃のオーブンで温めてやれば元に戻るらしい。
強度は低下しそうですが・・。
まとめ
良い点
- ULペグではまだ安いほう
- 強度は軽量アルミVペグよりは高い
- 抜けにくい、保持力がずば抜けて高い!
- とにかく軽い(6g弱)
- 環境に配慮している
- 自在が必要ない
悪い点
- 分厚いし十字ペグなので嵩張る
- 使えば使うほど削れて見た目が・・・
とにかくこの強度、保持力で5.9gは軽い!!
UL系ペグではダントツの抜けにくさです。
心配していた強度ですが、恐らく一般的な軽量ペグよりは強く感じます。
ただ、貫通力は予想通りかなり低いので、下穴を開けられる強いペグは絶対に携行しないと厳しい様に思います。
なにより素晴らしいのが、環境に配慮したペグ、という事ですね。唯一じゃないでしょうか。
もしテント場でトラウデン直美さんが「これは環境に配慮した商品ですか?」って絡んできたとしても胸をはってペグを打ち込めるんですよ。
そんなペグあります?
これを使ってる事で、他のおじさんの詰め合わせみたいな登山者側の意識も変わってきますよホント。
個人的には全然使っていきたいところですが、やっぱり嵩張るのが難点です。
ディスタンス22でテント泊というちょっと無理な事をやってるので、結構スペースがギリギリなんですよね・・。
最後に注意点として、プラスチックなので、踏むような力の加わり方では弾性が高いので折れにくいですが、連続して叩かれるような力の加わり方だと欠陥部から崩壊しやすいので、ガンガン叩くようなやり方はやめた方が良いと思います。
叩く間隔は冷める余地を与える様に時間を置く。
ということでまたまた良いペグに出会ってしまいました。