先日の台風19号によって、全国、特に東日本が甚大な被害を被りましたが、我々にとっては特別重要な登山道、登山道に至る林道も大きな被害を受けました。
昨日山行計画を立てている時、色々と調べましたが、正直なところ、ここまで甚大な被害が発生しているとは思いませんでした。
登山道自体の崩落なら、人によってはスキルでどうにでもなるかもしれませんが、そこに至る林道が通行不可となっては、どうしようもありません。
被害が広範に及び、また、登山道に至る林道はすでに林業が盛んでなくなっている道が多く、補修の優先順位も低いところが多いと思われます。
更にこれから冬季に入る為、恐らくほとんどの補修工事は雪解けを待って行われるでしょう。
今期の雪山登山は、被害の少なかった山に人が集中するかもしれませんね。
もしかしたら、人気の無い山、アクセスの極めて悪い山は、来年以降も登山道の補修はなされない可能性もあります。
やはり補修する、整備するメリットが無ければ誰もしないわけで。
お客さんの少ない山小屋は「そろそろ潮時かな」と思うかも知れませんし、かろうじて地元の山岳会や有志で保たれている登山道は、これをきっかけに整備を止めてしまうかもしれません。
しかしながら、だれかが手を付けなければ、絶対に登山道は元には戻りません。
国や自治体は、主だった登山道はいずれ補修するかも知れませんが、やはり山を遊び場とする人間自身が手を付けるべきではないでしょうか。
SNSでも「トレイルランナーなら登山道を補修に行こう」という声も上がっています。
それは素晴らしい考えだとも思いますが、個々に行動してもなかなか成果は得られない気がします。
また、一般的なランナーのうち、どれくらいが草刈り機やチェンソーを使った事があるでしょうか?
それどころか、大人になってから鎌やノコギリを使った事の無い人も多いのでは??
恐らく山小屋の皆さんや、往年の山岳会も、最初はそういう事から、皆で相談しながらチャレンジしつつ、地元の登山道を整備していったのだと思います。
そう考えると、やはり統率された組織で整備を行う方が、ずっと安全だし、ずっと捗るのでは?
大規模な補修、整備をするにはやはり人手とお金が必要です。
人とお金が集めるには、イベントが一番。
そう、トレランのレースが一番!!
トレランのレースを開催、となれば、主催者は登山道の補修に人手とお金を使うでしょうし、自治体に働きかけ、林道の補修も早まるかもしれません。
また、そういった貢献は、社会がトレラン業界を見る目を変え、トレランを語る世間の論調も好転すると思うんです。
だから来年は、大変な一年になるとは思いますが、トレランの主催者の皆さま、なんとしてもこれまで通りの山域で開催、更にはこれまでより多くの場所で多くのレースをしていただければ、と思います。
今回の台風被害によるレース中止で、参加者は参加費や宿泊費、現地まで行った方は交通費まで失っています。
殆どの大会で、主催者は参加費を返金しない規約ですから、大会が中止になったとしても、被害はゼロでしょう(実質プラスの可能性もありますね)。
だとしたら、登山道の補修イベントを主催したり、林道補修に寄付したり、といった事で、ちょっとだけ、能動的に、積極的に損をして頂きたいな、と、部外者としては思います。
中止になったレースに参加予定だったランナーが文句を言いにくい空気感なもので、敢えて言いたかった。
参加者だけが損をして、主催者はノーダメージっていうのは、心情的に許せなくてもまったく不思議じゃないと思います。
勿論、我々ランナー、一つくらいは登山道整備にボランティアに出かける、というのも、観光がてら、良いのではないでしょうか?
昨今、これまで全国の山岳会が行ってきた登山道整備や、マナーやノウハウなどの継承が、特に田舎の小さな山岳会では出来なくなってきています。
私自身、ほぼ自分しか走らないトレイルをざっくり整備するくらいですから、大きなことは言えませんが。
今のままだと、登山道の維持整備は、本当に山小屋任せです。
我々ランナー、登山者は山を消費するばかりです。
今回の登山道の復旧は、トレランが山岳アクティビティの中で確固たる足場を作れるチャンスでもあると思います。
それと同時に、登山者が新しい文化を作り上げるきっかけになるのでは、とも思います。
私が先月参加した、登山道整備イベント。
大きく告知したわけでもなく、参加賞が良いわけでもない。有名な山でもない。
それでも、100人を超える人がすぐに集まってきました。
みんな、山に貢献したいんだと思います、そのやり方が分からなかったり、チャンスがないだけで。
ここはやはり、登山という文化からお金を稼いでいる登山用品店、メーカー、メディアなども、是非多数の整備イベントを安全に企画して、実行していってほしいと思います。
最後に・・・
これまでの登山道、林道は、沢筋につけられる物が数多くありました。
しかしながら、沢筋の道は絶えず崩落の危険があり、常に補修が必要です。
対して、尾根筋につけられた登山道は長く使える物が多く、例え痩せ尾根、崩落の進んでいる場所であっても、大きく付け替える必要のない場合が多いそうです。
そう考えると、今後超大型台風が毎年来る、などと言われ(まるっきり信じるわけではありませんが)、登山道の維持管理が今後困難になってくることを考えると、これまでとは違う、尾根筋にしっかりとした道を作っていく必要が有るのかもしれません。
道は、木材や鉄杭を使用したものではなく、石や砕石を使用した、自然と一体化した登山道にしていくのが良いかもしれません。
最後まで、わりと真面目な記事でした。