先日、多度大社で上げ馬神事が4年ぶりに開催しました。
5日目には登りきる馬も現れ、盛況のうちに幕を閉じましたが、登り切れなかった馬のうち1頭が骨折の為、安楽死・・というか殺されることとなりました。
700年の伝統を持つ神事・祭りであるので私は残っていって欲しいと思うのですが、とても疑問に思うのが「なぜサラブレッドを使うのか」です。
ご存じの通りサラブレッドはスピードや短距離のスタミナが必要な競馬の為に品種改良され続けて来た馬で、持続的な運動や労務は苦手で、脚は弱くケガをしやすい、バランスが悪く転びやすい、蹄が薄く割れやすい、性格が扱いにくい・・・などが特徴だそうです。
だとしたら、どう考えても荒っぽい事には向いていないと思います。
対して、木曽馬や対州馬のような在来種は大きく食い込む蹄は蹄鉄の必要がなく、泥道・坂道でもへっちゃらで、更に草鞋を履かせれば滑り知らず。
重心が低いため転びにくく、転んでもケガすることは少ない。
サラブレッドとは違って走っても上下の揺れが少なく、矢を目標に当てやすい。
と、良い事だらけなのです!!
私の住んでいる地域一帯、岐阜県中部・東部~木曽・伊那地方には木曽馬を祭りに使う神事がものすごく多く、実は私も今年はそのうちの一つの実行委員会にいます。
木曽馬は一時期、かなり数が減り、絶滅寸前でしたが、開田高原の保存会の方々の努力のおかげで、可能な限り血が濃くならないように気を付けながら、体格も維持しつつ、いまでは継続的に個体数を維持できるまでになりました。
時々、「在来馬とか言ってそもそも中国から来たもんじゃねーか」とかいう頭の悪い人がいるんですが、そんな事言ったらおれたち日本人もそうだけど大丈夫??って思いますね。
作物も大部分が外来ですし。ホントアホ。
しかしそんな増えた木曽馬も、まだまだ絶滅の危機にあるのは間違いないのです。
これからは日本中の祭りに使う馬を木曽馬なんかの在来馬にするのが保存の一番の方法だと思うんですけどいかがですか(テヘ)。
ていうか流鏑馬も上げ馬神事も、サラブレッド使い始めたのってコストと「映え」の為やろ。
大きくて速い馬使った方がカッコいいもんね!!
でも、本当に伝統を残したいなら在来馬を使うべきだし、実用的な距離ではサラブレッドの上からでは矢なんか当てられません。
それが歩き方が揺れにくい在来馬の上からだと全然当てられるんです。
まあ試してガッテンの木曽馬特集かなんかの受け売りなんですが。
どこかに残ってないかな?と思って調べていたら残念、所さんの目がテン!でした・・・。
そもそも貴重な財産である馬がポコポコ死んじゃうような形ではこれまでもやってきていないはずですし、そんな行事だったら今後残っていくわけ無いんですよね。
今の形、サラブレッドを全速力で走らせて泥の壁を登らせる、みたいなのは近代に固定化されたもんでしょうし、それ以前の何百年と続いてきた形に戻すか、新しい時代に合わせた形にするのが愛される神事として残していく方法なんじゃないかなあ、と思います。
私の関わっている祭りも、実は以前は馬にも人にも危険な形でしたが、それも変わりましたし。
というか田舎は神事と法事と祭りが多すぎるし面倒すぎる。
わたしの本音を言うと、寺社も行事も三分の一くらいに減らして欲しいです・・・。