登山には様々な危険がつきもの。
危険の中でも、はやり恐ろしいのが危険生物に出会う事。
中でも皆さんが一番恐れている、気にしているのがカッパ(河童)でしょう。
実際に遭遇する可能性は低いとはいえ、やはり万が一に備えるのが登山者。
ボーイスカウトの標語にもあります、「Be prepared(備えよ常に)」。
「登山中、危険生物にであったら」第一弾として、もしもカッパに出会ったら、を考えたいと思います。
まず、一般の登山者がよく理解していないカッパの生態ですが、古来よりカッパは清らかな水辺に住むと言われていますが、実は山間部の、泳げない様な川しかない場所でも相当数、目撃情報があります。
特に明治期の登山開拓期ともいえる時期には目撃情報が多く、名著「黒部の山賊」で有名なカベッケが原や、柳田国男の「遠野物語」で紹介された遠野のカッパ淵だけではなく、カッパの生息域は少し前までは日本列島に点在していたのでしょう。
カッパ淵
数こそ少なくなりましたが、現在でも登山者による目撃情報、遭難者による目撃情報もあります。
かくいうわたしも、去年の8月、夜勤明けにロング走に出た際に幅20cmくらいの用水路をカッパが泳いでいるのを目撃しました。一瞬で消えましたので、相当な速さで泳いでいったのでしょう。
もしもカッパに出会ったら
もしもカッパに出会ってしまっても、慌てることはありません。
人語を解する種も多いと聞きますし、他の危険動物(熊、スズメバチ、ヒバゴン)と違って温和で、コミュニケーションも取れると聞き及びます。
相撲を取ったり、お酒を飲んだり、仕事を与えることで喜んだりするケースが散見されます。
人間に興味を持っている個体も多い事から、やはりコミュニケーションを取る事を第一に考えるべきでしょう。
とはいえ、おそらくカッパも人間に出会ったら戸惑い、驚いていることでしょうから、例えばザックの中のキュウリを渡してやるとか、頭の上の皿を褒めてやるなどして、相手の警戒心、恐怖心を取り除いてあげる事が肝心です。
また、カッパは江戸期には「尻子玉を抜く」とか、「人間を川に引き入れる」など悪事を働くと言われた事もあります。
こういったことから恐れを抱いている人もいるでしょう。
しかし信ぴょう性のある証言・文章は少なく、はっきり言って妄想の産物と切り捨てざるを得ません。
江戸時代、市井の民の間では、安い紙に大量に印刷された、今でいえば雑誌の様な娯楽本が流行しましたが、そのあたりの作家がこういったデマを振りまいたのだと思います。
また、同じく日本全国にある「カッパのミイラ」も、ほぼすべて偽物です。
江戸時代の寺社が、「ミイラ職人」にカッパのミイラの制作を依頼し、出費した記録が残っており、参拝者の増加を狙ってミイラを置いたのだと考えられています。
しかしながら、人間と一緒で、一部ミイラに人間を襲う意思がないとも限りません。
万が一の事を考えて、いつでも皿を割る準備はしておいた方が良いでしょう。