トレイルランニングを始める前に一度、マイナーな近くの山でトレイルランナーを見かけました。
その時思ったのは、まず羨望。
彼らはなんと、私がゼーゼーと休み休み登っている坂を走っていくんです!
次に嫉妬。「俺だってトレーニング積めばあれぐらい・・。」
そして酸っぱい葡萄が。「あんなの危ないしキツいだけだよ。それにあんなに急いで楽しいのかね?登山は自然を楽しむもんだろう。」
思えばあのランナーは、爽やかで、走力も高く、マナーも良かったです。
だからこそ私は、トレイルランニングに悪いイメージを持たずにすんだのかも知れません。
トレランを始めてすぐに出会ったのが、名古屋から来た、というランニングクラブの方々。
私は下り、彼らは登り。立ち止まると、「あとどれくらいで山頂ですか?」と聞かれました。
そこで話を聞くと、最初、近くの別の山を目指していたが、せっかくならもう少し大きな山を登ろうと、この山にしたと。
地図はないと。ヤマップは入れてあると。私は「鈍足の私の足でもあと30分走れば頂上ですよ」と教えましたが、ふと彼らの装備(ウェストバッグに500ml程度のボトル)を見て、「この上は水場ないですよ」ともお伝えしました。
因みに、そこから一番近い水場は、下って1時間は掛かります。
彼らは「そうなんですね!」と興味ない様子。そして「あとから女の子が来るので、すれ違ったら稜線に出たら待っていると伝えて下さい!」と言って去っていきました。
そしてその後、ボトルが空の女の子とすれ違い、予備のポカリを一本あげました。
だってかわいかったから。
そして私は思いました。
もしあの山をろくに知らない人たちを登山者が見たら、ひとくくりに「トレイルランナーはなってない」と言われてしまうんだろうな、と。
さて、現在言われる、トレイルランニング批判の主な点は、表題の三点。
- トレランは登山道を壊す。
- トレランは自然に対するダメージが大きい。
- トレランは危険だ。
といったところでしょうか。
トレランは通常の登山と比べて登山道を壊すのか
登山道が壊れる、崩れる、荒れるというのは、大きく分けて、以下の通り。
- 登山道の拡幅
- 登山道のえぐれ、またそれによる水路化
- 木道、はしご、石段などの人口物の崩壊
登山道の拡幅ですが、これはトレランだから・・・。というのはどうでしょう。
正直なところ、これは体力のない方が大きなステップの道を小刻みに登りたいが為や、グループ登山で横並びで歩きたい時に、トレイルからはみ出すことが多いのではないでしょうか。
少なくとも私は、トレラン時にトレイルの端や外を使うことというのはかなりレアなケースです。
次に登山道のえぐれ。登山道がえぐれると、木の根が露出したり、水路化が進んで崩壊の原因になります。
ただ、これも重い荷物で硬いビブラムソールでトレッキングポールを突きながらガシガシ降りていく時の方が、えぐっている感があります。少なくとも私はそうです。
走っているときは登りも下りも衝撃を殺していくので、「ドン、ドン」ではなく、「トン、トン、トトン」と軽やかに行きます。それにソールも柔らかく、とても「よりダメージが大きい」と言い切れるものでは・・ないでしょう。
私の家の畑を、ぬかるんでいる時に歩いてみて(走ってみて)も、はやりビブラムの登山靴の方がずっと足跡が残っていました。
むしろトレランシューズで走る分には整地に貢献しているのでは、というレベルです。
最後に、木道などの人工物の破壊、ですが、これこそお門違いです。
どの木道を見てもはしごを見ても、アイゼンの跡がクッキリ。そこから腐っていっているのは明白です。石段であればトレイルランナーが衝撃大きく走れば大けがしますから、これもよほどのアホでない限り、しないでしょう。
どうでしょうか?わたしはこうやって一つ一つ考える時、「普通の登山者よりもトレラン野郎は登山道へのダメージがより大きい」というのはウソだと思うんです。
実感としても普通の4シーズン登山靴で歩いているときの方が「道を削っている感」が強いですし。
それに、低山の破線大好き中年としては、人が入らない登山道が一番荒れていくと感じています。
いや、これは間違いないです。手入れがされない、というだけではなく、踏み固められることがなくなった道が、雨で削られ続けるからだと思います。
わたしが思うに、特に関東の山域で登山道の荒廃が叫ばれているのは、山岳会が減り、登山道の手入れをしないのに消費だけをする、そういう登山者が増えたからではないでしょうか。単純に。
そして手入れどころか清掃登山すらしたことのない人が、トレラン野郎に罪を擦り付けている。
そんなことすら考えてしまいます。
その2に続きます。