登山が嫌いな人、まったく興味すら持たない人でも、一度森林限界以上の山で稜線歩きをしたら病みつきになる人は多いのではないか。
日本は、美しい自然が多い、と人は言う。
それは南北東西に物凄く細長く、起伏に富むという地理的な面と、それが亜寒帯から亜熱帯まで伸びているという気候的な面、どちらにも恵まれたからだろう。
しかしながら、アメリカや欧州、中国やアフリカの様な大陸でよくみられるようなダイナミックな風景はさほど見当たらない。
さほど、というよりも、迫力のある風景は本当に少ないと思う。
それがこの日本国の良い所、繊細な美意識が育つ理由な気もするが、果たしてどうであろう。
そして、そのダイナミックな風景。
無論、偉大な自然に拠って立つ、蝦夷地北海道の自然は大迫力だ。
富士山の裾野も、大きくて美しい。
なだらかな裾野を従えた雄大な富士、というのは、生まれた町で富士山が見えなかった人間にとっては憧れですらある。
他にも探せばあるにはあるが、私たちはもっともっと沢山のダイナミックな景色がみられるスポーツを知っている。
そう、登山です。
それも、稜線歩き。
稜線を歩く、というのは、私は登山の醍醐味だと思っていて、思えば初めて恵那山を見坂峠から登ったのも稜線歩きだった。
その時は上下ジャージに古いノースフェイスのデイバッグを背負い、そこにお茶の500mlペットボトルとおにぎりを突っ込み、観光用の地図とナイキのエアマックス(帰りにソールが剥がれた)で登ったのだ。
あの時は森林限界を超えていなかったので、眺望はほとんどなかったが・・。
登山コースとして人気があるのも、やっぱり稜線歩きだけれども、稜線を歩くには山に登って、降りて、という行程に更に上乗せしなければならない。
普通の登山者であれば、1泊か2泊の行程になるので、おいそれとたやすく、一年に何度も行けるものではない。
だからこそ、「せっかく行くのだから」と、稜線歩きの殿堂、北アルプスに人は向かう。
北アルプスは懐が極めて深く、中央アルプスと南アルプスを合わせたよりも、重厚な山々が連なり、どの山の稜線に立っても、眼前には恐ろし気な稜線をもつ山が聳え立つ。
こういう景色を初めて自分の目で見た人間で、感動を覚えない人がいるだろうか。
もちろん、稜線歩きが楽しいのは北アルプスばかりではない。
中央アルプスの稜線歩きでは富士に次ぐ2大独立峰、御嶽山と乗鞍岳がよく映え、はるか遠くに中部山岳地帯の主要な山々の殆どが望める。
南アルプスでは南北に連なる山々が折り重なって迫り、どこからも我らが富士山がどしんと鎮座しているのが見て取れる。
稜線を歩く、というのは、そういう自然との一体感、自分の小ささを感じるばかりか、子々孫々とこの豊かな自然を残したい、とさえ思えてくるのだ。
そしてその雄大な稜線歩きを日帰りで楽しめるのがトレイルランナーであるのだから、日々の鍛錬にも身が入る、というものだ。
私は今年も、安全装備に抜かりなく、マナー良く、愛想よく、山で過ごせたら良いな、と思う。
・・・なんだこの日記。時間無いからこんな記事になった、以上です。