
- キャプリーンクールウルトラの主な特徴
- 採用されている技術1.HeiQ Mint(消臭加工)
- 採用されている技術2.ミドリ・バイオソフト
- 【レビュー】キャプリーン・クール・ウルトラ・ライト・タンクトップが異次元すぎる
- 実際の使用感:汗が「消える」スピードに驚愕
- 3. まとめ:ここが最高、ここが惜しい
パタゴニアの「キャプリーン・クール・ウルトラ(Capilene Cool Ultra)」は、パタゴニアのテクニカルTシャツの中で「最も軽量で速乾性に優れた」最新のベースレイヤーシリーズです。
キャプリーンシリーズはそれぞれ素晴らしいです。
私も大好きでキャプリーンクールを好んで使っていますが、他のメーカーの最新のトレランやランニングシャツの「超速乾・軽量で肌に貼りつかない」生地と比べると、着心地や耐久性、質感こそ上回る物の、ランニングウェアの性能としては一歩及ばなくなってきた、というのが正直な感想です。
パタゴニア自身もそう感じていたのか、今回満を持して、「アクティブウェアとしての性能に特化したキャプリーン」が登場したわけです。
キャプリーンクールウルトラの主な特徴
キャプリーンシリーズの簡単なまとめ
NEW!キャプリーンウルトラ (Ultra)
特徴:最軽量・最速乾・ハニカム構造
用途:猛暑のランニング、激しい運動
キャプリーンデイリー (Daily)
特徴:滑らか・UVカット・普段着に近い
用途:日常使い、旅行、水辺のアクティビティ
キャプリーントレイル (Trail)
特徴:コットン風の質感・ソフト
用途:登山、ハイキング、リラックス時
キャプリーンメリノ (Merino)
特徴:ウール混・防臭力が最強・調温機能
用途:長期の縦走登山、冬のベースレイヤー
パタゴニア史上「最速乾」
これまでの人気モデル「キャプリーン・クール・ライトウェイト」の後継に近い位置付けですが、さらに進化しています。
圧倒的な軽さ: Tシャツ1枚で約74g(Sサイズ相当)と、着ていることを忘れるほどの軽さです。
ハニカム構造(蜂の巣状): 生地をよく見ると小さな凹凸がある「ハニカム構造」になっており、肌への接触面積を減らしています。
これにより、大量に汗をかいても肌に張り付かず、ベタつきにくいのが最大のメリットです。
驚異の速乾性: 通気性が極めて高く、汗を吸い上げるスピードと乾くスピードが非常に速いため、トレイルランニングや夏の高強度なアクティビティに最適です。
採用されている技術1.HeiQ Mint(消臭加工)
スイスの革新的なテキスタイル技術企業であるHeiQ社が開発した、100%植物由来の次世代消臭・防臭テクノロジーです。
パタゴニアの製品(特にキャプリーン・クール・シリーズ)において、これまでの銀イオンベースの防臭加工(HeiQ Pure)に代わる、より環境に優しい選択肢として採用されました。
1. 仕組み:どうやってニオイを抑えるのか?
一般的な防臭加工は「菌を殺す(抗菌)」ことでニオイを防ぎますが、HeiQ Mintは少し異なるアプローチをとっています。
ニオイの吸着と中和: ミントのエッセンシャルオイルから抽出された成分が、汗などのニオイ分子を物理的に捕らえ、中和します。
フレッシュ感の持続: ミント特有の清涼感ある特性を活かし、長時間着用しても「洗いたてのような感覚」を維持します。
非殺菌性(Non-biocidal): 強い殺菌剤を使わずにニオイをコントロールするため、肌の常在菌バランスを崩しにくいというメリットがあります。
2. 主なメリット
① 圧倒的にサステナブル
植物由来 100%: 石油系化学物質や重金属(銀など)を一切使用していません。
生分解性: 自然界で分解されやすいため、洗濯時のマイクロプラスチック流出と同様に懸念される「化学物質の流出」リスクを抑えています。
② 高い耐久性
洗濯に強い: 繊維にしっかりと固着するよう設計されており、パタゴニアの厳しい基準(50回以上の洗濯後も効果を維持)をクリアしています。
③ 快適な着心地
通気性を妨げない: 非常に薄い膜でコーティングするため、キャプリーン・クール・ウルトラの最大の武器である「通気性」や「速乾性」を損なうことがありません。
3. なぜパタゴニアが「銀」から「ミント」へ変えたのか?
これまで主流だった銀イオン加工(HeiQ Pureなど)は非常に効果的ですが、以下の懸念がありました。
銀は限りある資源(貴金属)であること。
洗濯によって銀粒子が河川に流れ出した際、水中の生態系に影響を与える可能性があること。
HeiQ Mintは、これら環境への懸念をクリアしつつ、「数日間着続けても臭わない」というアウトドアウェアに求められる高いパフォーマンスを両立させた「究極の自然派ソリューション」と言えます。
豆知識:ニオイが気になりだしたら?
もし長年愛用して防臭効果が落ちてきたと感じたら、一度専用のベースレイヤー洗剤(ニクワックスのスポーツリフレッシュなど)で洗うと、繊維の隙間に詰まった皮脂汚れが落ち、HeiQ Mintの機能が復活しやすくなります。
採用されている技術2.ミドリ・バイオソフト
キャプリーンクールシリーズにこれまでも使用されてきた「ミドリ・バイオソフト(miDori® bioSoft)」は、スイスのBeyond Surface Technologies社が開発した、植物由来の繊維柔軟仕上げ剤です。
トレランに使われるような高機能ウェアにおいて、「吸湿速乾性を落とさずに、極上の柔らかさを出す」ために欠かせない技術ですが、ミドリバイオソフトは植物ベースの柔軟化加工で、合成繊維特有の硬さをなくし、シルクのように滑らかで柔らかい肌触りになります。
1. なぜ「画期的」なのか?
従来の柔軟剤(シリコン系など)は石油由来の化学物質なのに対し、ミドリバイオソフトは植物種子油(100%植物ベース)から作られています。
また、一般的な柔軟剤が繊維をコーティングし、水を弾く(吸わなくなる)のに対して、ミドリバイオソフトは吸湿性を促進し、汗を素早く吸い上げます。
2. 主なメリット
① 汗を吸う力を高める(吸湿性)
ポリエステルなどの合成繊維は本来、水を吸いにくい性質を持っています。
ミドリ・バイオソフトは繊維の表面を親水性(水に馴染みやすい状態)にするため、汗をかいた瞬間に生地が吸い上げ、広範囲に拡散させて素早く乾かす手助けをします。
② 圧倒的なドライ感と肌触り
独特の「サラサラ、とろみ」のある質感を付与します。
激しい運動中にウェアが肌に張り付く不快感を最小限に抑えます。
③ 高い環境基準
パタゴニアがこれを選ぶ最大の理由は、そのクリーンさです。
bluesign®(ブルーサイン)認証: 製造工程において環境、労働者、消費者の安全が守られている証明。
USDAバイオ優先プログラム: 再生可能な資源を使用していることの公的認証。
3. お手入れの際の「超重要」な注意点
この優れた機能を長持ちさせるために、洗濯時に守ってほしいルールが1つあります。
「家庭用の衣類柔軟剤は絶対に使わないこと」
せっかくミドリ・バイオソフトで親水加工(汗を吸う加工)がされているのに、家庭用柔軟剤を使ってしまうと、その上から油膜のようなコーティングをしてしまい、吸湿速乾機能が死んでしまいます。
【レビュー】キャプリーン・クール・ウルトラ・ライト・タンクトップが異次元すぎる
それでは実際にポイント練習やジョグで使い倒してみたので、ここからはその驚きの性能をレビューします。
先に結論を言うと、これまで数多くのウェアを着てきた私でも「異次元の速乾性」だと感じました。
1. ディテールチェック:計算されたシルエットと質感


まず目を引くのが、そのシルエットの良さです。腰の微妙なシェイプ、裾の微妙な曲線。
パタゴニアならではの手を抜かないパターンが見た目だけでなく、着た時の心地よさ・動きやすさを産んでいます。
また、肩のラインが広めに設計されており、重いバックパックを背負ってもストラップが直接肌に干渉しにくい工夫がなされています。
さらに、縫い目(シーム)が肩のトップから前後にずらされているため、荷重がかかった時の違和感が最小限に抑えられています。

縫い目はすべてフラットシーム加工。
また、首の襟元の後ろ側だけ縫い目に被せ布がしてあって、超長距離を走った時におこる微妙な擦れ感の軽減を計っている様です。

脇下の開きは比較的タイトですが、生地自体に優れたストレッチ性があるため、腕振りの邪魔になることはありません。着丈は少し長めの設計です。
また、私が一番気に入っているのは、胸元にロゴがないこと。
裾に小さなパタゴニアのロゴパッチがあるだけという、このさりげなさが最高にナイスです。

パッと見はカジュアルなタンクトップですが、近くで見ると極小のドット状メッシュが並んでいます。

以前紹介した「アシックス フジトレイル」の生地に近い編み方ですが、ドットの直径はあちらの半分ほど。非常に緻密な構造です。
重量は実測で62g。
公称値通りで、手に取った瞬間に「しなやかで軽い!」と感動するレベルです。
実際の使用感:汗が「消える」スピードに驚愕
普段のジョグから強度の高いポイント練習まで、ガッツリと使い込んでみました。
まず、袖を通した瞬間のさらっとした肌触りが素晴らしい。
あまりに快適なので、そのままパジャマにして寝たいくらいです。
走行中も縫い目が肌に当たるストレスは皆無でした。
そして。パタゴニアが謳う通り、速乾性はとてつもないです。
激しく汗をかいても、5分もすれば触っても濡れを感じないほどまでに乾いてしまいます。
これは市場に出回っているほとんどのウェアを凌駕するレベル。
以前紹介したフジトレイル並みです。
すくなくとも、トップクラスなのは間違いありません。
さらに嬉しいのが、濡れても汗染みが目立ちにくいこと。

上の写真、みぞおちあたりまでベトベトなんですが、全然汗じみが目立ちません。
街中を走るランナーや女性にとっても、これは大きなメリットではないでしょうか。
タンクトップシルエットなので通気性は高いですが、シングレット(ランニングシャツ)ほど露出は多くありません。
しかし、山を走るならこれくらいの方が、バックパックとの擦れを防げるため、トレイル用としては「最適解」なシルエットだと感じました。
3. まとめ:ここが最高、ここが惜しい
◎ 良い点
- 超絶的な速乾性
- トレイルで使いやすいシルエット
- 最高の着心地
△ 悪い点
- 耐久性はイマイチ
- カラーバリエーション
結論:迷っているなら「買い」の一枚
この「キャプリーン・クール・ウルトラ・ライト」の生地を初めて手にする人は、おそらく速乾性能に驚くはずです。
私自身、このレベルの速乾性を備えたウェアは、前述の「フジトレイル」以外に知りません。
防臭性についても、初期段階では確かに効果を感じます(ただ、これはどの防臭生地もそうですが、20〜30回と洗濯を繰り返すと徐々に効果は落ち着いていくものと割り切るべきでしょう)。
カラーリングに「これだ!」というものがあれば、間違いなく「超超おすすめ」のアイテムです。
お気に入りの色が出るのを待ってでも、ぜひ一度手に入れてみてください。
